ワーキングメモリ指標(WMI)とは…

WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の主要指標であるワーキングメモリ指標(WMI)とは、一体何なのでしょうか。
どんなことが分かるの詳しくご説明しましょう。

WISC-V検査のワーキングメモリ指標(WMI)について

ワーキングメモリ指標(WMI: Working Memory Index)は、WISC-V(Wechsler Intelligence Scale for Children-Fifth Edition)の主要指標の一つであり、子どもの作業記憶能力を評価するための指標です。

ワーキングメモリとは、情報を一時的に保持しながら、それを操作して課題を遂行する能力のことを指します。

この指標は、子どもが情報を短期間保持し、それを活用して思考や学習、問題解決を行う能力を評価します。

ここでは、WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の主要指標であるワーキングメモリ指標(WMI)の検査結果から何が分かるのか、具体的に説明します。

1. 情報の保持と操作能力

ワーキングメモリ指標(WMI)は、子どもが与えられた情報をどの程度効率的に保持し、その情報を操作して課題を遂行できるかを評価します。

これは、例えば、算数の計算をする際に必要な情報を一時的に記憶し、それを使って次のステップを行う能力に関連しています。

高いワーキングメモリ指標(WMI)の指標得点を持つ子どもは、複数の情報を同時に保持し、それらを効率的に操作して問題を解決することが得意です。

具体例:
たとえば、いくつかの数字を覚えて、その覚えた数字に言うような課題が出された場合、ワーキングメモリ指標(WMI)の指標得点が高い子どもは、これらの数字を正確に覚えたり、再構成したりして正しく答えることができます。

一方、ワーキングメモリ指標(WMI)が低い子どもは、数字を覚えている間に混乱したり、実際に言う段階で間違えてしまうことが多くなります。

2. 注意力と集中力

ワーキングメモリ指標(WMI)は、子どもの注意力と集中力の維持にも関連しています。

ワーキングメモリは、複数の情報を同時に保持し操作する能力であるため、注意を集中させる力が必要です。

高いワーキングメモリ指標(WMI)の指標得点を持つ子どもは、長時間にわたって集中して作業を続けることができ、複雑なタスクを遂行する際にも注意を持続させることができます。

具体例:
例えば、授業中に教師が複数のステップからなる指示を出した場合、ワーキングメモリ指標(WMI)が高い子どもは、それらの指示をすべて覚えて実行することができます。

たとえば、「ノートを開いて、3ページ目を見て、次に問題を解いて、最後に先生に見せに来てください」という指示を正確に覚え、順番に実行することができるのです。

一方、ワーキングメモリ指標(WMI)の指標得点が低い子どもは、途中で指示を忘れてしまったり、順番を間違えたりしてしまうことが多くなります。

3. 学業成績への影響

ワーキングメモリ指標(WMI)は、特に算数(数学)や国語の読解力など、情報を保持しながら操作する必要がある科目での学業成績に大きな影響を与えます。

高いワーキングメモリ指標(WMI)の指標得点を持つ子どもは、複数の手順を必要とする算数(数学)の問題や、長文の読解問題を効率的に処理することができます。

これにより、彼らはこれらの科目で優れた成績を収めることが期待されます。

具体例:
算数の授業で、複雑な方程式を解く際、ワーキングメモリ指標(WMI)の指標得点が高い子どもは、途中の計算結果を一時的に覚えつつ、次の計算に進むことができます。

たとえば、「(3 + 2) × (5 - 3)」のような問題を解くとき、最初に「3 + 2 = 5」と計算し、その結果を保持したまま「5 × 2 = 10」と次のステップに進めるのです。

しかし、ワーキングメモリ指標(WMI)が低い子どもは、最初の計算結果を保持するのに苦労し、誤った答えに至ることが多くなります。

4. 言語処理と記憶

ワーキングメモリ指標(WMI)は、言語処理や言語に基づく記憶力とも関連があります。

特に、言語を使って情報を処理し、それを保持して応答する能力が求められる場面で、ワーキングメモリ指標(WMI)の高さが影響します。

言語的な作業記憶が優れている子どもは、言葉を使った問題解決や言語的な学習において優れた能力を発揮します。

具体例:
たとえば、歴史の授業で、先生が複数の歴史的出来事や年代を説明した後、それに関する質問をした場合、ワーキングメモリ指標(WMI)の指標得点が高い子どもは、その情報を正確に覚え、質問に的確に答えることができます。

一方、ワーキングメモリ指標(WMI)の指標得点が低い子どもは、話の途中で内容を忘れてしまい、質問に答えるのが難しくなることがあります。

5. 社会的な場面での影響

ワーキングメモリ指標(WMI)は、日常生活の中でも重要です。特に、社会的な場面での会話やグループ活動において、相手の言葉を一時的に記憶し、それに適切に応答するために必要なスキルです。

ワーキングメモリ指標(WMI)が高い子どもは、会話の流れをしっかりと把握し、適切なタイミングで発言したり、複数の情報を組み合わせて判断を下すことができます。

具体例:
友だちと遊んでいるときに、複数の友だちが一度に話している状況を想像してみてください。

ワーキングメモリ指標(WMI)の指標得点が高い子どもは、複数の話を同時に理解し、適切に応答することができます。

たとえば、友だちが「僕はサッカーが好きだ」と言った後に、別の友だちが「じゃあ、次の試合を見に行こう」と言った場合、ワーキングメモリ指標(WMI)の指標得点が高い子どもは、これらの情報を保持して次に何を言うかを考え、会話に参加することができます。

一方、ワーキングメモリ指標(WMI)の指標得点が低い子どもは、どの話題について話しているのかを見失い、会話から取り残されることがあるかもしれません。

WISC-Ⅴ検査の主要指標であるワーキングメモリ指標(WMI)から何が分かるのかについてのまとめ

ワーキングメモリ指標(WMI)は、WISC-V(ウィスク5)検査において子どもの作業記憶能力を評価する重要な指標です。

ワーキングメモリ指標(WMI)からは、子どもの情報の保持と操作能力、注意力と集中力、学業成績への影響、言語処理と記憶、そして社会的な場面での影響について多くのことが分かります。

ワーキングメモリ指標(WMI)の指標得点が高い子どもは、学業や日常生活での複雑なタスクを効果的に処理し、成功する可能性が高いです。

一方、ワーキングメモリ指標(WMI)の指標得点が低い子どもは、情報の保持や操作に困難を感じることが多く、これに対して適切な支援や指導が必要です。

教育者や保護者は、ワーキングメモリ指標(WMI)の結果を基に、子どもに合った学習方法やサポートを提供し、彼らの潜在能力を最大限に引き出すことが求められます。


~ こども発達相談支援室 ~