聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)とは…
WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の補助指標である聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)とは、一体何なのでしょうか。
どんなことが分かるの詳しくご説明しましょう。
WISC-V検査の聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)について
聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI: Auditory Working Memory Index)は、WISC-V(Wechsler Intelligence Scale for Children-Fifth Edition)の補助指標の一つで、子どもの聴覚情報を一時的に保持し、その情報を操作する能力を評価します。
この指標は、特に音声で伝えられる情報を処理しながら記憶する力を測定し、子どもの言語的な学習やコミュニケーションに大きく関わります。
以下、聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)の検査結果から分かることを列記していきます。
1. 聴覚情報の処理と保持能力
聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)は、子どもが音声で与えられた情報をどれだけ効率的に一時的に保持し、それを操作できるかを示します。
これは、教室での指示を覚えたり、聞いた情報を整理して理解するために重要です。
低い聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)の指標得点は、子どもが複雑な口頭の指示を理解しにくいことを示し、情報を保持してそれを活用する際に困難を感じる可能性があることを示唆します。
具体例:
教師が授業中に「まず数学の教科書を開いて、3ページ目の問題を解いてから、次にノートに答えを書きなさい」といった指示を出す場合、聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が低い子どもは、これらの指示をすべて覚えておくのが難しくなり、最初のステップを始める頃には次に何をするべきかを忘れてしまうことがあります。
2. 学習の困難さ
聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)は、言語に基づく学習に直結しています。
低い聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)の指標得点は、音声で提供される情報を効率的に処理することが難しいことを示しており、特に長い文章を読んで理解する、または問題を解決するために必要な情報を保持することに困難を感じる可能性があります。
これにより、国語の長文読解や算数の文章題で苦労することが考えられます。
具体例:
読解問題で、文章全体を通して重要な情報を覚え、それを使って質問に答える必要がある場合、聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が低い子どもは、読んだ情報の一部を忘れてしまい、質問に対して正確に答えることが難しくなることがあります。
これが繰り返されると、読解力や算数の問題解決能力が低下し、学習に対する自信も失われることがあります。
3. コミュニケーション能力
聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)は、日常のコミュニケーションにおいても重要です。
低い聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)の指標得点は、複数の情報を同時に処理したり、会話の中で相手の言葉を正確に理解し、それに適切に応答することが難しいことを示します。
これは、友だちとの会話やグループ活動でのコミュニケーションに影響を与える可能性があります。
具体例:
友だちと会話をしている際に、相手が複数の内容を話しているとき、聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が低い子どもは、その内容をすべて覚えて理解するのが難しく、会話の流れについていけなくなることがあります。
これにより、友だちから「話が通じない」と感じられることがあり、コミュニケーションがうまくいかず、友だち関係に影響を与えることがあります。
4. 多段階の指示や手順に従う困難さ
多段階の指示や複雑な手順に従うことは、聴覚ワーキングメモリの機能に大きく依存しています。
聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が低い子どもは、手順を一度にすべて覚えておくことが難しいため、特に長い手順が求められるタスクや活動においてミスが増える傾向があります。
具体例:
美術の授業で「まず赤い色を塗って、次に緑を使い、最後に黄色で仕上げをする」というような複数ステップの指示が与えられる場合、聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)の指標得点が低い子どもは、次に何をすべきかを忘れてしまい、指示通りに作品を仕上げることが難しくなることがあります。
これにより、クラスの活動に遅れをとり、自信を失う可能性があります。
5. 注意力と集中力の維持
聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)は、注意力や集中力とも関連しています。
低い聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)の指標得点の子どもは、長時間にわたって注意を集中させることが難しく、特に複雑な情報を処理する際に集中力を失うことがあります。
これは、学業成績や学校生活全般に影響を与える可能性があります。
具体例:
長時間の授業やテスト中に、聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が低い子どもは、途中で注意が散漫になり、集中力が切れてしまうことがあります。
例えば、テストの問題を解いている途中で問題文の内容を忘れてしまい、答えが書けなくなることがあります。
これが成績に影響を与え、学習への意欲にも悪影響を及ぼす可能性があります。
WISC-Ⅴ検査の補助指標である聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が低いとどんな問題があるかについてのまとめ
聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)からは、子どもの聴覚情報の処理能力や、それに基づいた問題解決能力、コミュニケーション能力、そして学習の適応力について多くのことが分かります。
聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が低い子どもは、複雑な口頭指示の理解、長い文章や問題の処理、日常的なコミュニケーション、複数のステップからなるタスクの実行、そして集中力の維持に困難を感じることが多いです。
これらの困難は、学業成績や友だち関係に直接的な影響を与えるため、早期にAWMIの低さを発見し、適切なサポートを提供することが重要です。
具体的な支援としては、指示を短く具体的に与える、視覚的な補助を活用する、情報を段階的に伝えるなどが効果的です。
これにより、子どもが学習や社会生活での成功を達成するための基盤を築くことができます。
~ こども発達相談支援室 ~